ニュース報道の見方について

金融リテラシー

毎日おびただしい数のニュースが報道されています。

新聞やSNS、ネット掲示板も含めれば丸一日パソコンの前に張り付いても追いきれないほどのニュースがあります。

投資家はそういったニュースの中から投資対象の株価に影響がありそうなニュースを探し出し、内容を精査する必要があります。

しかしあまりにもニュースの数が多いため、どういったニュースに注意を払えばいいのか、どう対処すればよいのか分からない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回はニュース報道への対処の仕方について考察していきます。

これを読むことで毎日のニュースに対する正しい対処の仕方について学ぶことができます。

ニュースは3種類しかない

テレビを付けると、

日経平均株価が上がった(下がった)

に始まり、

〇〇企業が不祥事を起こした
〇〇企業の製品が大ヒット

など、様々なニュースが報道されます。

このように、一言にニュースといっても様々な種類のニュースがありますが、投資をやる上で考えるべきは三種類しかありません。

それは、

①株価が上がるニュース
②株価が下がるニュース
③株価に影響のないニュース

です。

世の中には様々なニュースがありますが、株で儲けるという観点からすれば、上記の三分類しかないのです。

つまり投資家という立場からすれば、ニュースを三分類に当てはめて、自分の投資対象に影響がありそうなニュースだけに注意を払い、それ以外のニュースは無視すれば良いということになります。

聞いてみれば当たり前のことですが、当たり前のことを当たり前に対処するというのが大事なのです。

注意を払うべきニュース

では、どういったニュースに対して注意を払うべきなのでしょうか。

具体的に言うと以下の通りです。

  • 投資対象の決算報告
  • 投資対象のチャート情報
  • 投資対象の適宜開示情報

これだけ?と思うかもしれませんが、これだけです。

実は注意を払うべき情報というのは少ないのです。

世の中に発表されるニュースのほとんどは無意味・無価値なものばかりであり、あなたが注意を払うべきほどのニュースなんてほとんどないのです。

決算報告は最重要

ただし、決算報告はとても重要なので聞き逃さないようにしなければなりません。

はっきり言ってしまえば株価なんて決算報告によってほぼ決まるのですから。

注意を払うと言っても難しいことはありません。

要は業績、つまり売上と利益が順調に推移しているのか否かをチェックするだけです。

投資上級者の方であれば月次情報や来期の見通しや財務内容についてもチェックすればよいのですが、初中級者の方であれば、とりあえず売上と利益だけ見ておけば問題ありません。

話は簡単で、業績が良さそうならなら買いもしくは買い持ち、業績が悪いそうなら売りもしくは買わない。

ただそれだけです。

適宜開示情報(決算内容や業績予想の修正)

そのほか注意を払うべき情報としては適宜開示情報が挙げられます。

適宜開示情報とは読んで字の如く、会社から適宜開示される情報のことです。

例えば、新株式の発行や企業合併、事故や不祥事の報告書、決算内容や業績予想の修正などです。

上場企業はこういった株価に影響がありそうな情報を速やかに開示することが義務付けられているのです。

このように適宜開示情報といっても色々ありますが、特に注意を払うべきは決算内容や業績予想の修正です。

なぜなら、それらのニュースこそ株価に最も直接的な影響を与えるからです。

通常、アナリストたちは四半期ごとに行われる決算報告書をもとに来期の業績を予想します。

そしてその業績予想をもとに株の売り買いが行われ、株価というのは上がったり下がったりするわけです。

そのため、アナリストの業績予想というのは一定の影響力があります。

とはいえ、アナリストが業績予想を修正したりするのはいつものことですし、もともとアナリストの業績予想なんて当てにしていない人もいるのでアナリストの業績予想修正には大した影響はありません。

しかし、会社から発表された決算内容・業績予想の修正は違います。

会社の経営陣は自分が経営する会社の内情をよく知っています。

その経営陣が決算内容や業績予想を修正してきたということは、経営陣でさえ予測がつかなかったことが起きているということを意味します。

つまり、その会社を取り巻く経営環境に大きな変化が見られたということです。

予想以上に経営状況が悪化してしまい大幅な減益になりそうなのかもしれませんし、場合によっては赤字に転落しそうなのかもしれません。

あるいはビジネスが予想以上に絶好調のため、予想利益を大幅に上方修正してきたのかもしれません。

いずれにしても、経営陣から発表された決算内容・業績予想の修正というのは株価に与えるインパクトがとても大きいので見逃さないようにしなければなりません。

そういったニュースはどこで入手すればよいのかというと、日経新聞のサイトが便利です。

https://www.nikkei.com/markets/kigyo/disclose/

適宜開示情報:日経電子版より

検索欄に会社名や証券コードを入れれば目当ての企業の情報が出てきます。

日経新聞のサイトは証券取引所に直結のため、最も早く適宜開示情報を入手できます。

その辺のニュースサイトや掲示板はデマやガセもあり信頼性に欠けますが、上記のサイトは公式発表されたものだけが出てくるので安心です。

また、過去十年分の決算報告書も検索可能であるため、投資家にとっては必携のサイトです。

まだブックマークに登録していない人は是非登録しておきましょう。

株価に影響のないニュース

次に株価に影響のないニュース、つまり注意を払わなくてもいいどうでもいいニュースについて。

乱暴に言ってしまえば、前項で挙げた「株価に影響のあるニュース」以外は全てがどうでもいいニュースに分類されます。

投資家にとっては株価に影響があるかどうかが全てであり、「株価に影響ない=どうでもいいニュース」ということになるからです。

具体的な例で言うと、以下のものが挙げられます。

  • 円為替、金利等の変動
  • 消費者物価指数、鉱工業生産
  • 総理大臣、大統領の発言や交代
  • 会社の人事異動
  • 日経平均株価、NYダウの変動
  • 新製品の販売

一見するとどうでも良く無さそうなニュースまで「株価に影響しないニュース」に分類したのは、「仮に影響があったとしても、会社の決算報告や業績予想の重要性と比べたらほとんど無意味だから」です。

例えば、日本の総理大臣なんて居ても居なくても何も変わりがないので、何を発言しようがコロコロ入れ替わろうがどうでもいいことです。

日経平均株価の変動もあくまで経済状況の参考程度にしかなりえず、特別注意を払わなければならないというほどではありません。

人事異動や新製品の販売なども決算報告書や適宜開示情報に書かれている内容なので、わざわざニュースとして見るほどの価値はありません。

株価に影響を与えるのは決算内容やそれに対する修正情報であり、それ以外のニュースには特別に注意を払ってみるほどの価値はないということです。

人生において時間は有限かつ貴重な資源なのですから、いかにどうでもいいニュースに振り回されないようにするかという視点が大切です。

会社の決算と業績予想に注意しよう

以上説明した通り、投資家が見るべきニュースは会社の決算報告と業績予想に関するものです。

それ以外のニュースは、全くどうでもいいとまでは言いませんが、特に注意を払うほどの価値がありません。

たとえあったとしても、決算報告や業績予想に関するニュースの重要性と比べてみたらほとんど無価値と言える程度の影響力しかないからです。

そのため、雑多なニュースに忙殺されるよりも、一部の重要なニュースだけ聞き漏らしの無いようにしておくのが賢いと言えるでしょう。