なぜ中長期投資は儲けやすいのか

基礎理論

投資は時間によって短期・中期・長期の三種類に分けられます。

短期投資はいわゆるデイトレードなど、数秒~数日程度の期間での利益を狙う方法です。

中期は数日~数か月、長期は数か月~という具合です。

それぞれ自分が得意とする時間軸があるので各自がやりやすい方法を選べばよいのですが、特にこだわりや得意不得意がない場合は、中長期投資がお勧めです。

それは短期投資に比べて中長期投資は再現性があって儲けやすいからです。

今回はなぜ中長期が儲けやすくてお勧めなのかについて説明したいと思います。

短期投資は茨の道

なぜ中長期投資が儲けやすいかを説明するには、逆に短期投資が儲けにくいことを説明するのが近道です。

短期投資がなぜ儲けにくいかというと、現在の株式市場はHFTと呼ばれるコンピュータによる高速取引が主流となっているからです。

高速取引(HFT)とは High Frequency Trade の略であり、コンピュータを使っって1秒間に数千回レベルの高頻度で売買の注文を繰り返すことです。

これにより、わずかな値幅でも瞬時に動きをとらえて資金を回転させることができ、人間では不可能な速さで利益を積み上げるのです。

実際、個人投資家が値動きを見て利ザヤを取ろうとして買い注文を入れると、すぐさまコンピュータが売り注文を入れてロスカットに追い込みます。

逆もまた然りで、空売りを入れた途端に値上がりするというのはよくある話です。

大量の資金を持っている機関投資家(証券会社や保険会社、投資ファンド等)は資金力と設備にモノを言わせて短期的な値動きであれば無理やり引き起こす力があります。

そのため、個人投資家レベルの資金で立ち向かうと返り討ちにある可能性が高いのです。

似たような話で、よく「“流れ”を見て投資すれば勝てる」という人がいますが、その”流れ”を支配しているのは大量の資金を持っている人たちなので、個人レベルが“流れ”という不確かなモノを頼りに投資をしても無理やり逆の方に株価を動かされてしまいます。

このように株価というのは短期的には上にも下にも無理やり動かされてしまうものなので、短期投資で勝つためには運頼みになってしまいます。

運だけでは、たまに勝つことはできたとしても、継続的に勝つことはほぼ不可能です。

実際、短期投資で大儲けしたからと言って調子に乗っていたらあっという間に無一文になって相場から退場したという人の話は枚挙に暇がありません。

中長期投資のメリット

再現性が高い

短期投資と比べて中長期投資の良いところは再現性が高いということです。

先ほど「株価というのは短期的には上にも下にも無理やり動かされる」と言いましたが、長期的に見れば株価はその企業の業績に見合う株価へと収束していきます。

つまり、株価は短期的には無理矢理操作可能でも、長期間にわたって無理やり操作をするのはほぼ不可能だということです。

そのため、中長期投資を前提にするならば短期的な値動きを無視することができ、腰を据えてじっくりと投資に取り組むことができます。

もちろん運の要素を完全に排することはできませんが、短期投資に比べてみればはるかに再現性が高く、投資がしやすくなります。

株価を逐一見なくていい

投資と聞くとたくさんの画面に表示したチャートとにらめっこしているのを思い浮かべる人がいます。

これは俗にいうデイトレーダーです。

株価というのは秒単位で移り変わるものなので、短期的に利益を出そうとすると、ずっとパソコンの前に張り付いて株価を監視する必要があるわけです。

しかし中長期投資ならそんなことをする必要はありません。

株価は短期的にはランダムに動くので、その値動きを掴むのは理論上不可能ですし、そういった短期的な値動きではなく、中長期の大きな値動きをとらえに行くのが中長期投資だからです。

したがって、中長期投資を前提にするならば毎日株価を見る必要がなく投資の手間が大きく軽減されます。

大まかな投資方針を決めて、そこから大きく外れない投資対象を選んでいけばいいだけですから、誰にとっても分かりやすく真似しやすいのが中長期投資の良い点です。

大きく張って大きく儲けやすい

投資というのは基本的に大きく張る方が多く儲かります

例えば、100万円を倍に増やせたとしたら100万円の利益ですが、500万円を30%増やせたら150万円の利益です。

言い換えれば「少額を倍にするより大金を少し増やす方が儲かる」ということです。

そのため、投資をやるときはできるだけ確度の高い投資対象に大きく張るのが基本となります。

大金を短期的に投資しようとすると、自分の注文によって株価が動いてしまう危険がありますので、基本的に短期投資で大金を動かすことは難しいです。

また、短期的に株価が倍になるような株はほとんどなく、あったとしても投機性が高すぎて危険です。

短期的に株価が倍になるような株は短期的に株価が半額以下になる危険性を孕んでいるので、投資の期待値はどうしても低くなりがちです。

それに比べて中長期投資であれば、少しずつゆっくりと株を買い集めることができますので、大量の資金で買い集めても株価及ぼす悪影響を軽減することができます。

加えて、自分がじっくり選んだ株に大量の資金を注ぎ込むことができるわけですから、投資の成功率を高めることができるのです。