[簡単でOK] テクニカル分析はこれだけ見ておけば十分です

分析手法

投資手法は大きく分けてファンダメンタル分析とテクニカル分析の二種類があります。

ファンダメンタル分析とは会社の財務状況や業績などの数値情報を分析するのに対し、テクニカル分析は株の値動きや出来高などのチャートから得られる情報をもとにトレンドや値動きのパターンを把握し、今後の株価動向を予想する手法です。

どちらにもメリットとデメリットがあり、それぞれ根強い信奉者がいるものですが、今回はテクニカル分析に絞って解説したいと思います。

指標が多すぎてどれを信用したらいいか分からない

テクニカル分析を勉強し始めた人がまず思うのが「種類が多すぎてどれを信用したらいいかが分からない」という点でしょう。

私がパッと思いつく指標だけでもこれだけあります。

  • ローソク足
  • 出来高
  • 移動平均線
  • MACD
  • ボリジャーバンド
  • RSI
  • サイコロジカルライン
  • 一目均衡表

これら全てを理解して使いこなすのは相当困難です。

なぜなら「指標Aでは買い推奨だけど、指標Bによれば売り推奨」というふうに、指標同士が矛盾する場合があるからです。

これでは買いなのか売りなのかを判断することができません。

そのためテクニカル分析をする際は、まず「どの指標を信用するのか」を決め込む必要があります。

実用に耐える指標は少ない

じゃあどれを信用したらいいのかという話になりますが、これを判断するには二つの基準があります。

それは

理に適った考え方に基づいているか

分かりやすくてシンプルかどうか

です。

なぜこの二つの基準が大切かというと、テクニカル指標は多くの人が採用しているものほど信頼度が高くなるからです。

というのも、テクニカル指標は多くの人に判断材料として採用されるからこそ、その指標によって判断された注文が集まり、結果的にそのテクニカル指標が推奨する通りの値動きになるという事情があるからです。

だからこそテクニカル指標は多くの人が採用するものほど信頼度が高くなるのですが、そのためには多くの人を納得させるだけの「理に適った考え方」と誰にでも分かりやすくて採用しやすい「分かりやすいシンプルさ」が重要というわけです。

つまり、どのテクニカル指標を採用するべきかという話になったときは、「理に適っていて分かりやすく、多くの人が採用しているもの」を採用すればいいという事になります。

テクニカル指標は数多くありますが、この基準を満たすものはそう多くありません。

例えば、サイコロジカルラインは投資家の心理を表す指標のひとつで、12日間のうち株価が前日に比べて高い日が何日あったかを調べ、その比率を算出したものです。

これは「株高や株安がそんなに何日も連続して続くわけがないだろう」という投資家の心理を表した指標であり、この値が高いほど「そろそろ下がるだろう」という売り推奨を表し、低いほど「そろそろ上がるだろう」という買い推奨の指標となります。

しかし、12日という期間には何かしらの意味があるわけではありませんし、5日連続で株価が上昇したからと言って、6日目は株価が下がるというわけでもありません。

したがって、このテクニカルは分かりにくくて理に適っていませんし、私が知る限りこれを判断材料として採用している人はそう多くありません。

このようにして、どの指標を使うべきか迷ったときは上記の二つの基準に合致するかどうかで判断していきます。

信用できるテクニカル指標は2つ

前置きが長くなりましたが、じゃあどのテクニカル指標を採用すればいいのかというと、それは2つに絞られます。

それは「移動平均線」と「出来高」です。

この二つはどのチャートにもほぼ必ず記載されるほど多くの人の判断基準として浸透している指標です。

また、これから解説する通りシンプルかつ理に適っているため、前述の判断基準2つを満たしていると言えます。

移動平均線

移動平均線とは一定期間の株価の平均値を計算し、その平均値を折れ線グラフとしてつないだものです。

つまり、この移動平均線こそが一定期間内の投資家による売買の平均価格を表していることになります。

したがって、この線が上昇傾向にあるほど多くの投資家が買いに向かっており、下落傾向ならば多くの投資家が売りに傾いているという事が分かります。

この指標を見ることで現在のトレンドが分かるようになります。

特に信用度が高いのが200日移動平均線です。

200日という数字は1年間における株式市場の営業日を指します。

つまり、200日移動平均線が上昇傾向かどうかを見れば、投資家が年単位で買い集めている株なのかどうかが分かります。

特に、機関投資家の買い集めはこの200日移動平均線に顕著に表れます。

なぜなら機関投資家は資金規模が大きすぎて数日では望んだ株数を買い集められない(一気に買おうとすると株価が急騰してしまう)為、年単位で少しずつ買い集めるからです。

したがって200日移動平均線は機関投資家が買っているのか売っているのかを判断するためによく使われる指標となります。

また計算に用いるのが200日間であるため誤差や騙しが少なく、非常に信頼度の高いテクニカル指標です。

出来高

出来高は期間中に成立した売買の数量のことです。

なぜ出来高が重要かというと、出来高を見ることで機関投資家の売買動向を見極めることができるからです。

多くの場合、株価が上がったり下がったりするのは資金量の多い機関投資家による売買が原因です。

機関投資家は資金が多いため、市場で売買をするとどうしても値動きに影響を与えてしまい、かつ出来高が増えてしまうからです。

逆に言えば、出来高が増えたタイミングこそが大口投資家が売買に介入したタイミングであり、その時の値動きを見れば機関投資家が買い集めに動いているのか売り逃げているのかが分かります

相場には“出来高は株価に先行する”という言葉がありますが、これは株価を動かす力を持った機関投資家の売買は出来高として表れてしまうことを言い表しています。

このように、出来高はシンプルであるがゆえにごまかしが効かない指標であり、信頼度が高いと言えます。

テクニカル分析は2つでOK

以上説明した通り、テクニカル指標は「移動平均線」と「出来高」の二つを見れば十分です。

この二つはシンプルであるがゆえに誤魔化しが効かないため、指標としての信頼度も高いからです。

加えて多く人が判断材料として採用している上に分かりやすいため、判断基準を立てやすいという面もあります。

たった二つでいいのか?と疑問に思う人もいるかもしれませんが、テクニカル指標というのは多ければ多いほど良いというものではありません。

むしろ判断材料が増えるあまり、意思決定が困難にある恐れがあるので、シンプルで分かりやすいものを数個だけ使えば十分なのです。

テクニカル分析を勉強し始めた人はまずこの二つの指標を覚えて、それぞれ株価の動向予測にどう役立てていけるかを考えることが儲けへの近道になるはずです。