投資をするときは「上がりそう」ではなく「上がっている」で買え
投資家が株を買うのは株価が上がるのを期待しているからです。
買った株が上昇してくれればその分だけ儲けにつながるので、それは当然のことと言えます。
ただ、この「上がるのを期待して買う」という点について、気を付けてほしいことがあります。
それは、株を買うときには「上がりそうだから買う」のではなく「上がっているから買う」というふうに考えてほしいという事です。
これは似ているようですが、全く違うので区別してもらいたい点です。
そこで今回は、「上がりそうだから買う」のと「上がっているから買う」というのがどう違うのかを説明したいと思います。
その上で、株を買うときは「上がっているから買う」というふうに考えるべき理由についても解説します。
上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる
「上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる」
これは230億円の資産を持つ個人投資家であるcis氏が著書の中で語った言葉です。
株というのは上がったり下がったりを繰り返しているため、株の値動きはランダムだと考えている人が多いのですが、cis氏はそうではないと語っています。
曰く、株の値動きは確かにランダムではあるものの、一般の人が考えるような、お行儀の良いランダムではなく、もっと偏ったものになっているということです。
例えば5日連続で下落した株があるとします。
永遠に下がり続ける株は存在しないので、そろそろ1日くらい株価の上昇が起きそうな気がしてきますが、実際には6日連続で株価が下落することだってあり得るわけです。
また、7日目には株価が上昇したとしても、8日目にはまた下がりだす可能性もあります。
このように考えると、「そろそろ上がりそうだ」と考えて株を買うのは危険だということになります。
ここで考えてほしいのは、何の理由があって株価が5日連続で下落したのかは分からないが、他の投資家達が5日連続で株を売り続けたのは事実だという事です。
なぜ株価が下がり続けたかについて、これが原因だと確認することはできません。
もしかしたら不祥事を起こしたのかもしれませんし、次の決算が悪くなるという情報が漏れたのかもしれませんし、もう買い需要がなくなってしまったため大口の投資家が利益確定の売り注文を出したのかもしれません。
しかしいずれにしても、他の投資家たちが5日連続で株を売り続けたというのは明確な事実として確認することができます。
そしてその株には下落トレンドが形成されており、他の投資家達も「まだまだ下がりそうだから今のうちに売っておこう」と追従して売ってくる可能性が考えられます。
このように、売りが売りを呼ぶ展開となり、下がり続ける株はさらに下がっていくことが多いのです。
したがって、「そろそろ上がりそうだな」と考えるのではなく、「下がっているうちはまだ買わない方がいい」と考えた方が良いという事です。
逆に、5日連続で上昇した株があった場合も、「そろそろ下がりそう」ではなく、「まだまだ上がりそうだから今のうちに買っておくか」という買いが入ることを予想されます。
結果的に買いが買いを呼ぶ展開となり、上がり続ける株はさらに上がっていくことが少なくありません。
これを言い表したのが「上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる」という言葉です。
つまり、株は上がったり下がったりをランダムに繰り返しているというよりは、上がり続ける株と下がり続ける株がランダムに存在しているというのが株式市場の実態に近いという事です。
「上がりそうだから買う」のと「上がっているから買う」の違い
「上がりそう」はただの主観
まず言っておかなければならないのは「株価が上がりそう」というのはただの主観に過ぎないという事です。
前述した通り、5日連続で下落した株が「そろそろ上がりそうだな」と考えるのは何の根拠もない単なる主観です。
実際には下がった株がさらに下がり続けるというのは良くある話です。
「上がりそう」という期待で株を買うと、株価が下がったときに期待を裏切られたことになり、精神的ダメージを受けます。
それによって損切りがしづらくなって、ズルズルと損失を拡大させる可能性が発生します。
したがって、「上がりそうだから」という主観で投資することはできません。
「上がっている」は明確な事実
それに対して「上がっている」というのは目で見て確認できる明確な事実です。
なぜ上がっているのかという理由までは分からなくとも、誰かが株を買っていることで株価が上がっているというのは事実なのです。
新製品の売れ行きが思いのほか良かったのかもしれませんし、来期の利益計画を上方修正したのかもしれませんし、裏で買収計画を進めている企業があるのかもしれません。
しかしいずれにしても、株が買われることで株価が上がっているというのは事実です。
であれば、いつまで上がるのだろうかなんて考えずに、上がっているうちは買っておく方が勝率は高くなります。
「上がっているから」という理由で株を買えば、意に反して下がりだしたときに「下がっているから」という理由で売って損切りすることができます。
上がっているとか下がっているというのは明確な事実なので、そこに主観の入り込む要素はなく、売買基準が単純明快となります。
まとめ
投資家は株価が上昇することを期待して株を買います。
ただ、今回説明したように、株価が「上がりそう」と「上がっている」には違いがあり、それを勘違いすると損につながりかねないという事をお話ししました。
ちょっとした違いに思えるかもしれませんが、この点は勘違いしないで欲しい点なので、是非覚えておきましょう。
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