「インデックス投資は敗者の投資」と言われる理由を解説
インデックス投資は多くの投資家に浸透し、今では投資の第一選択肢として勧められるほどの人気があります。
インデックス投資は手数料が安くて安定感があるのですが、中には「インデックス投資は敗者の投資」と指摘する声もあります。
そこで今回は、なぜ「インデックス投資は敗者の投資」と言われるかについて説明したいと思います。
その上で、インデックス投資をするべきなのかどうか、どういう人に向いているのかついて解説したいと思います。
今インデックス投資をしようかどうか迷っている人は、今回説明する内容を踏まえた上で判断するとよいでしょう。
インデックス投資とは
知らない人の為に一応説明しておくと、インデックス投資とは
「株価指数などの値動きと連動した運用成果を目指す投資スタイル」
のことを指します。
インデックスというのは「指数」を表す英単語であり、株式市場では日経平均やダウ平均などの株価指数のことを指します。
つまりインデックス投資とは、
「日経平均やダウ平均と同じ値動きをするように設計された投資信託やETFを買うこと」
なのです。
通常、投資と聞くとトヨタの株を買うとかアップルの株を買うみたいに、各企業の株を個別に売買することを想像するかと思います(これを個別株投資と言います)
対するインデックス投資は、投資ファンドがあらかじめ多くの種類の株を買い集めてひとまとまりにし、それらを小分けにして販売したものを買うことを意味します。
例えば、日経平均を構成する225社の株を買い集めて小分けにしたものは日経平均連動型投資信託と呼ばれ、日経平均株価と同じ値動きをします。
この商品を買えば、日経平均株価が上がったときには得をし、下がったときには損をすることになります。
インデックス投資のメリット
安い
インデックス投資最大のメリットは「手数料が安い」という点です。
通常、投資信託を買うと手数料を取られます。
高い利益率を狙って積極的に売買をすることをアクティブ運用と言いますが、こういったアクティブ運用型の投資信託は売買の手間がかかる分、ファンドマネージャーの人件費がかさむため手数料が高く設定されています。
しかし、インデックス型の投資信託はインデックス(日経平均やダウ平均などの株価指数)に連動するように設計されているだけで、特に詳細な分析や積極的な売買が必要なわけではありません。
そのぶん人件費や管理費などのコストがかからない為、手数料が安く設定されているのです。
手間がかからない
一般の社会人にとって、市場の変化や経済状況を常に把握しつつ、各企業の業績や状況を個別に分析していくのは、それなりの時間と手間を要する面倒な作業です。
しかし多数の企業をひとまとめにして購入すれば、理論上は市場全体の値動きと同様の投資成績が得られるはずです。
つまり、インデックス投資なら個々の企業を詳細に分析する手間をかけずに平均点が取れるわけです。
そのため、投資の為に時間を割けないような忙しい社会人にはうってつけです。
安心
現在の株式市場は比較的安定していますが、個々の企業を見てみると大きく値下がりする株や倒産して株価が0円になる会社もあります。
そのため個別株投資はある意味ババ抜きのような側面を持っており、外れ株を引くかもしれないというリスクが常に伴います。
しかし、インデックス投資であれば市場全体の株を買うことになるため、市場全体が暴落しない限り大きな損失を負うことはありません。
また、投資先の企業全てが一気に倒産しない限り、投資信託の価値が0になることもありません。
そのため、基本的にインデックス投資には大きな外れがなく、安心して投資することができます。
インデックス投資が敗者の投資と呼ばれる理由
こう聞いてみると「なかなか良さそうじゃないか」と思われるインデックス投資ですが、何事も良いことばかりではありません。
もちろんデメリットもあります。
そしてそれこそが「インデックス投資は敗者の投資」と言われる理由でもあります。
絶対に平均点を超えられない
インデックス投資最大のデメリットは「絶対に平均点を超えられない」ということです。
インデックス投資では多くの企業を一緒くたにして買うため、選りすぐりの株だけでなく冴えない株も多く買うことになり、どうしても投資成績が平凡なものに終わってしまいます。
そのため、良く言えば「楽に平均点が取れる」のですが、悪く言えば「どうあがいても平均点止まり」ということになるのです。
株式市場にはわずか数年で株価を10倍以上に伸ばすいわゆる「テンバガー株」があります。
もちろん数は少ないですが、個別株投資でこういった株を捉えることができればまさに一攫千金という事になります。
またテンバガーとまではいかなくとも、株価を数倍程度に増やす企業なら割と多くあるため、個別株投資にはリスクに見合うだけのリターンがあると言えます。
実際、資産が1億円を超えるいわゆる「億り人」達は、こういった急上昇株を捉えて一気に資産額を伸ばしたという人がほとんどです。
しかし、インデックス投資では市場全体の株を買うことになるため、上場企業全ての株価が倍になるようなことでもない限り、大儲けすることができないのです。
株式市場では個々の企業だけ見れば株価が倍になる会社もあるのですが、市場全体の株価が倍になるという事象はほぼあり得ないため、
「インデックス投資は絶対に平均点を大きく超えることができない」
という悲しい運命を背負っているのです。
投資家として成長しない
インデックス投資というのはある意味「思考停止」を意味します。
なぜなら、インデックス型の投資信託を買う事というのは「個々の企業について良し悪しを判断することを放棄して、何も考えずに全ての企業を一緒くたにして株を買うこと」だからです。
インデックス投資をするという事は、必然的に株を運用する手間も他人任せにすることにもなり、投資家として経験値を積むことを放棄していることになります。
そのため、インデックス投資をしていても投資家として成長することがありません。
したがってインデックス投資をすることは、自分が平均以上の投資家にはなれないことを認める一種の敗北宣言のようなものです。
これが「インデックス投資は敗者の投資」と言われる所以です。
資産形成に時間がかかる
インデックス投資は個別株投資と違って、安全である代わりに利幅が少ない投資です。
個々の株が急騰することはあっても、市場全体が急成長するという事はほぼ起こりえないからです。
市場全体の成長率はその国のGDP成長率とほぼ比例するので、投資信託の利率は最大でも10%程度であり、実際は数%程度です。
いくら複利の効果が強力であると言っても、この程度の利率では、お金持ちになれるのは年寄りになった後という事になります。
インデックス投資をするべきか?
インデックス投資は「楽して平均点を取る」という思想で設計された商品です。
そのため、平均点で十分と考える投資家にとってはうってつけと言えます。
平均点であっても十分な時間をかければ、複利の効果で資金は膨れ上がっていきます。
しかし、そもそも「そこまで時間をかけてお金持ちになる意味があるのか」という疑問があります。
お金というのは若いときに持っているから意味があるのであって、ヨボヨボのお年寄りになってから大金をもらっても嬉しくないでしょう。
例えば、80歳の時に10億円もっているよりも、30歳の時に1億円持っている方が人生の満足度は高い気がしませんか。
子供は100円を与えられると駄菓子を買ったりして十分満足することができるでしょうが、社会人にとって100円は缶コーヒーを1本買って終わりにしかなりません。
このように、人間にとってお金とは若い時ほど価値が高く感じられるものなのです。
したがって、インデックス投資をするべきかどうかは次の三点で決めることになります。
平均点で妥協できるかどうか
インデックス投資をするかしないか迷った時、一番の争点になるのは
「平均点が取れれば満足かどうか」
です。
平均点というと何だかパッとしない成績だと思う人も居るかもしれません。
しかし、投資の世界で安定して平均点を取るのは非常に難しいことであり、価値が高いと言えます。
実際、平均を上回ることを目標に運用されているアクティブファンドの大半はインデックスファンドより悪い成績で終わることが知られています。
そのため、平均点という成績を受け入れられる人にとってインデックス投資は非常に有用と言えます。
一方、平凡な成績では満足できないという投資家にとっては、インデックス投資は無用と言えます。
投資に労力と時間を惜しまず投入できるか
投資をすると大抵の人は最初の頃に大損をします。
なぜなら、投資というのは「経験値が物を言う」ところがあり、経験が少ない投資初心者は損失を出す可能性が高いからです。
加えて、投資の世界では努力量と結果が正比例するわけではないので、どんなに頑張っても報われないときがあります。
それでもなお平均点以上の投資成績が欲しい人は個別株投資をやってみる価値があるかもしれませんが、そこまで投資に労力を割けない人にとっては、インデックス投資が最適解となります。
早めにお金持ちになりたいかどうか
前述した通り、インデックス投資は資産形成に時間がかかります。
しかもその間、投資資金はずっと投資信託に拘束され続けます。
もちろん貯金として寝かしておくよりかはよっぽど良いのですが、インデックス投資でお金持ちにあるためには、理論上20~30年掛かります。
そこまで時間をかけても良いのであればインデックス投資は安心かつ堅実な投資と言えますが、いくらなんでもそこまで待てないというのであれば、インデックス投資は選択肢から除外して考えざるを得ないでしょう。
そういう人は、多少のリスクを承知した上で個別株投資をするしかありません。
まとめ
以上見てきたように、インデックス投資は安価で比較的安全な投資法ですが、資産形成に時間がかかるというデメリットを抱えています。
それでも構わない人にとっては、インデックス投資は聖杯とも言える投資法ですが、そうでない人にとっては選択肢から外れてしまうでしょう。
つまり、インデックス投資をするかしないかを決めるのは、
「ゆっくりでいいから安全に資産を増やしたい」
「多少危険でも早めにお金持ちになりたいのか」
のどちらなのかで決めることになります。
どちらの方が優れているという事ではなく、自分はどういうタイプかということです。
自分はどちらの方が良いのか考えた上で決断しましょう。
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