上がる銘柄情報を追いかける損する理由
ネット上ではどの銘柄が上がるかについて書かれた記事は閲覧数が高くなりがちです。
それだけ多くの人が「どの銘柄を買えば儲かるのか知りたい」と考えている証拠です。
しかし、こういった上がる銘柄情報を追いかける人は概して損しがちです。
では、なぜ上がる銘柄情報は人を損させてしまうのか、そのロジックについて解説したいと思います。
上がる銘柄情報はテキトーに書かれている
いきなり結論から申し上げますと、上がる銘柄情報と称して書かれている記事のほぼ全てはテキトーに書かれているものであり、信用性は皆無です。
ほぼ全てと書きましたが、およそ皆さんが目にするような記事に限って言えば100%詐欺かデタラメだと断言しても良いでしょう。
なぜそう言えるのか。
それは、そういった記事がどういった需要に基づいて出来上がるのかを考えれば自然と理解できます。
大抵の投資家は自分の頭で考えることを非常に苦手としているため、「どういった観点で銘柄を選べば良いのか」よりも「どの銘柄を買えばよいのか」ということを知りたがります。
選ぶ観点を説明されても最終的には自分で判断して選ぶという頭脳労働が発生するため、多くの怠惰な投資家たちにとっては不親切に感じられるためです。
したがって、より直接的に「どの銘柄を買えばいいのか」まで踏み込んで書かれた記事のほうが需要が高くなります。
その記事に書かれている銘柄を買うだけで良いのですから、頭脳労働は皆無であり非常に楽です。
こういった理由により「どの銘柄を買えばいいのか」という記事は一定の需要があります。
それに答えるのが「上がる銘柄情報」というわけです。
記事の書き手はこういったことを承知していますので、ネット上には「上がる銘柄情報」記事が供給され続けるのです。
株の上がり下がりは誰にも予想できない
書けば当たり前のことですが、株価の上がり下がりは誰にも予想できないものです。
「上がる銘柄情報」なんていうのも、誰にも予想できないものを予想しているという点で矛盾しています。
もし株価の上昇が予想できるのならば、上がる銘柄情報なんて書かずにその銘柄を買い占めておけば大儲けできるわけですから、いちいち記事として書くのはおかしいことになります。
それでもわざわざ「これを買えば儲かります」的な記事を書く動機があるとしたら、もはや詐欺か閲覧数目当てぐらいしか考えられないのです。
他に何か考えられますか?
極端な話、投資は自分さえ儲かればそれでいい世界です。
自分が儲かった裏で誰がいくら損していようがそれは自分には関係がないのですから。
「自分が儲けるために他人を誘導する」というのは倫理的には悪でしょうが、投資家は倫理で飯を食っているわけではないのでどうでもいい話です。
「投資は自己責任で」という大原則
世の中には性善説を信じきっている人がいて、「みんなが投資で儲けて幸せになってほしいから上がる銘柄情報を親切に紹介してくれている人がいる」と思っている人がいるようです。
確かにそういった思想があること自体は否定しませんが、だからといって上がる銘柄情報を信じていい理由にはなりません。
前述しましたが、どの銘柄が上がるかなんて誰にも予想できないものです。
予想できないものを予想しているという時点でもう既に矛盾が生じているのに、それでも信じるというのは盲信(わけも分からず信じ込むこと)しているのと同じです。
仮に上がる銘柄情報を信じ込んだとして、本当に上がってくれれば良いですが、上がらなかったときどうするのでしょうか。
記事の執筆者が損失を肩代わりしてくれると思いますか?
もちろんそんなことはありません。
「投資は自己責任で」の一言で片付けられるのがオチです。
顔も名前も知らない人のために儲かる情報を教えてくれて、もし儲からなかった時には損失を補填してくれるようなお人好しはどこにもいないのです。
上がる銘柄情報は人を退化させる
上がる銘柄情報を信じて投資した結果、一文無しになって文句を言っている人を見たことがあります。
言い方は悪いですが、はっきり言って真性のアホだと思いました。
投資の世界では多少頭が悪くても一文無しになったりはしません。
頭が悪くともそれを自覚できている人は無茶な投資をしないからです。
しかし、上がる銘柄情報を信じ込むほど頭の悪い人は「これで絶対に儲かるはずだ」と信じて疑いません。
その結果、調査もリスクヘッジもせずに突っ込んで有り金を全て溶かすという愚行を犯してしまうのです。
なぜこのようなことが起こってしまうのか。
それは「上がる銘柄情報は人から考える力を奪い、人を退化させてしまうから」でしょう。
上がる銘柄があるとしたら、何も考えず買うだけでいいのですから考える力が身につくはずがありません。
そこには考察も検証も何もなく、投資家として成長する要素は何もありません。
そのような記事ばかり追いかけていると、いつの間にか「どういった株を選べば良いのか」という観点がなくなってしまうのです。
投資の世界では「信じる者は(足元を)救われる」というのが常識であり、何かにつけ他人を当てにしてはなりません。
そういう観点でいうと、上がる銘柄情報というのは投資家にとって毒でしかないと言えるでしょう。
どういった観点で株を選べば良いのかというのは魚の釣り方を教わるようなものですが、上がる銘柄情報を求めるのは魚を求めるようなものです。
投資家は自分で魚を釣らなければならないのですから、魚の釣り方を教わることがあっても、魚自体を他人に求めてはならないのです。
自力で投資しよう
以上説明した通り、上がる銘柄情報というのは読むだけ無駄です。
それを読んで儲かる保証はどこにもありませんし、損した時に責任を取るのは自分だけです。
だったら最初から自分で考えて投資したほうが何倍もマシではないでしょうか。
上がる銘柄情報は手っ取り早く儲かりそうですが、実は最も儲けから遠いところにあなたを誘導します。
「どの銘柄を買えば儲かるのか全然分からない」
「どの銘柄を買えばいいか誰かに指示してほしい」
そう思う人の気持ちはよく分かりますが、投資の世界では判断を誰かに委ねる人がお金持ちになることは絶対にありえません。
お金を儲けるためには自分の頭で考えて、脳汁を振り絞るくらいに頭を悩ませるぐらいの人でないといけません。
他人の意見を参考に楽して儲けようというのは、考え方からして根本的に間違っているのです。
だからこそ、一見遠回りに思えても自力で投資しなければならないのです。
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