ポーカープロに学ぶ投資の鉄則について

基礎理論,投資哲学

突然ですが皆さんはポーカーをやったことがあるでしょうか。

ポーカーとは各プレイヤーに配られたカードを使って役の強さを競い合い、最終的に最も多くのチップを持っている人が勝つゲームのことです。

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ポーカーの本場ラスベガスでは優勝賞金30億円もの大会が開催され、世界中から猛者が集まるほどの人気のゲームです。

実はポーカーと投資はかなり似たところがあり、ポーカーの鉄則はそのまま投資の鉄則として当てはまるものがあります。

そこで今回はポーカーのプロから勝負の鉄則を学び、それが投資にどう活かされるのかについて解説したいと思います。

ポーカーで勝つための鉄則

勝てそうにない時はすぐに降りる

ポーカーが強い人の最たる特徴は

勝てそうにない時はすぐに降りる

という点です。

ポーカーでは最初に手札を配られ一定のチップを賭けさせられます。

その後、各プレイヤーごとにベット(賭けを続行)かフォールド(勝負を降りる)を選択していき、最終的にベットし続けたプレイヤー同士で手札を公開し、役の強さで勝敗を決めます。

このようにポーカーでは「この手札では勝てない」と思ったときにフォールドといって任意で勝負から降りることができます。

実際に勝負がどうなるかは最後に手札を公開し合う時まで分からないのですが、ポーカーが強い人は手札が公開され勝負が決着する前にフォールドします

要は勝負する前に諦めて降参するわけです。

その際、今までかけていたチップは没収されてしまいます。

こう言われてみると、フォールドは何とも情けないように思われるかもしれませんが、ポーカーでは強い人ほどすぐに勝負を降ります。

なぜなら、ポーカーが強い人は期待値を計算して、勝負する価値がある手札なのか、勝負するには分が悪い手札なのかを計算し、勝てる見込みがあるときしか勝負しないからです。

もちろん、相手がブラフ(本当は弱い手札なのに強い手札であるかのように装うこと)を仕掛けてきた可能性は考えられますが、それでも期待値がマイナスならすぐに降ります。

そうすることによって自分が大きく負ける可能性を最小化しているのです。

ポーカーではブラフで相手から賭け金を奪える人の方が強いと思われがちですが、それは間違いです。

ポーカーが強い人はあまりブラフを使わず、勝てそうにない時には素直にすぐ勝負から降りる人です。

それはつまり、勝てるかどうかを計算できる頭を持っていて、勝負しに行くか撤退するかを的確に判断できる人が強いということです。

役の強さに応じて賭け金を調整する

ポーカーが強い人はすぐに勝負から降りると言いましたが、それは勝てる見込みがない時の話です。

勝てそうな時はもちろん勝負します。

ただ、勝てそうだからと言って適当に勝負するわけではなく、勝てる見込みと賭け金が見合うように賭けます。

例えば、配られたカードが♠Aと♠Kなら多めに賭けるが、◆Qと♣7だったら少額しか賭けないという具合です。

つまり、かなり勝てる見込みがあるときには賭け金を多くし、負ける可能性もありそうならばフォールドすることを視野に入れつつ少額しか賭けないということです。

こうすることによって勝った時に得られるチップは多くなり、負けたりフォールドしたときに失うチップは少なくなります。

そうすることによって、最終的に手元に残るチップを最大化するのです。

ブラフや全賭けなど、リスキーな事はしない

ポーカーでは「ブラフ」と言って、大金を賭けることで弱い手札なのに強い手札であるかのように思わせて相手をフォールドさせる戦術があります。

相手がフォールドしたら手札を公開して勝負するまでもなく相手の賭け金を奪えるわけですから、強い人ほどブラフを多用するのはないかと思う人も多いようです。

しかし前述した通り、ポーカーでは強い人ほどあまりブラフを使いませんし、全賭けなどリスキーな行動をしないことが分かっています。

これは期待値による計算からも正しい戦略だというのが明らかになっています。

なぜなら、ブラフを多用する人はそのうちブラフがバレたり、相手が強い手札を引いて強気に張り合ってきた時に大負けするからです。

弱い手札なのに大金をかけて強気に見せたところで、弱い手札が強くなるわけではありません

結局は意地を張るか、踵を返してフォールドするかのどちらかしかないわけですが、一度大金をかけて強気を見せた以上、引き下がるのはかなり辛い判断になります。

ブラフを多用するような人はプライドが高くフォールドしたがらない人が多いので、大抵は意地を張って賭け続けます。

もちろんそれで勝つこともあるでしょうが、そんなことをばかりしているといずれ大負けしてしまいます。

そしてブラフによって儲けたチップの大半を失うのです。

ポーカーが強い人はそういったことをせず堅実に戦います。

すなわち、勝てる時に賭けてチップを勝ち取り、負けそうな時はすぐにフォールドしてチップの損失を最小限に抑えるのです。

そしてそれこそが自分の利益を最大化する唯一の方法なのです。

ポーカープロに学ぶ投資の鉄則

投資で儲けている人の行動はポーカーが強い人の行動と合致します。

すなわち、前項のポーカーにおける鉄則を投資に置き換えると次の通りになります。

損失が増えだしたらすぐ損切りする

ポーカープロは勝てそうにない時にはすぐにフォールドして勝負を降りるのでした。

同じ話で、投資のプロは儲かりそうにない銘柄はすぐに損切りします

株というのは株価が上がりそうだと思うから買うわけですが、意に反して上がらなかったり、あるいは下がって損失を出したりします。

そういう時、持ち続けていればそのうち上がりだして損失0になったり、あるいはプラスに転じることもあるでしょう。

しかし、投資のプロは買った株が意に反して下がり出した時点でさっさと売ってしまいます。

売ると多少損してしまうのですが、それでも早めに売って撤退するのです。

ポーカーのプロがすぐにフォールドするのと同じ理屈で、勝てそうにない時に意地を張って勝負し続けるよりも、さっさと負けを認めて撤退するほうが最終的には得をすることが分かっているからです。

株価に応じて買い増しや売却する

ポーカーでは手札の強さからどの程度勝てそうかを計算し、期待値が最大になるように賭け金を調整します。

投資では持ち株数の調整がそれに当たります。

すなわち、買った株が更に上昇したり好調な業績を維持し続けたら買い増しして、獲得できる利益を増やしに行きます。

逆に株価が下がりだしたり怪しい動きを見せだしたら、買い増しはせずに様子見するか、あるいは一部を売却していつでも撤退できるように準備を進めるのです。

こうすることによって強気の株には資金を集中させ、弱気の株には資金を少なくします。

これによって、上がる銘柄では利益が大きく得られ、下がる銘柄での損失は少なくなり、結果的に利益が最大化されるというわけです。

全賭けや怪しい銘柄に賭けたりしない

ポーカープロは全賭けやブラフの多用はしないとお話しました。

同様に、投資のプロは一つの銘柄に全賭けしたりしませんし、怪しい株を触ったりしません

全賭けは勝った時の利益は最大ですが、一度でも負ければ全額を失うというリスキーな行動です。

絶対に勝てるのならばそれでも良いのですが、現実では絶対に勝てるという仮定はあり得ないので、全賭けという行動もあり得ないことになります。

また、ポーカープロも投資プロも堅実に儲けようとする点で共通しています

そのため、ポーカープロはブラフを多用せずに勝てるかどうか分からない手札が来た時はすぐにフォールドしますし、投資のプロは儲かりそうかどうか分からない株には最初から手を出しません。

そういった時でも勝負すれば勝てる可能性もあるのでしょうが、勝てるかどうか分からない時にわざわざ勝負する価値はありません

勝てる勝負だけしていれば自ずと利益はついてくると分かっているので、プロほど堅実に戦うのです。