株主優待投資のデメリットについて解説
株式投資の楽しみの一つに株主優待というものがあります。
株主優待とは、一定数以上の株を保有している人に対して割引券や優待券、食料品やグッズ等を企業がプレゼントする制度です。
権利付き最終日に株を保有している人が対象となるため、特定の時期になると株主優待目当ての売買が発生することが知られています。
優待券獲得の為に活発な売買が生じる事と、一部の優待券はかなりお得であるため、株主優待投資は一定の人気がある投資法です。
しかし、株主優待投資にはデメリットも多く、あまりオススメ出来ない点があります。
そこで今回は株主優待投資のデメリットに焦点を合わせて解説したいと思います。
投資の本筋から外れてしまう
もともと株主優待は、自社の株を長期保有してくれている株主に対して感謝の意を表すために企業が自社製品をプレゼントする程度のものでした。
つまり、優待券は通常の株式投資のおまけ程度であり、大事なのはあくまで株だという認識がありました。
しかし、優待券に目を付けた一部の投資家によって、株ではなく優待券を取得するために株の売買を行うようになりました。
その結果、権利付き最終日が近くなってくると優待目当ての買いが集まって株価が下がり、優待券を獲得したら用済みとばかりに株を売り払って株価が下がるようになりました。
そのため、いたずらに株価が上下するだけで本来の企業価値を反映しない値動きが発生するようになりました。
これでは企業の価値を見積ながら株の売買をするのではなく、一時的な値動きに乗じて優待券や利益をかすめ取ることになってしまいます。
これでは株式投資の理念とはかけ離れており、投資の本筋とは言えなくなってしまいます。
本来、株式投資とは企業の成長に合わせて株価が上がっていき、それに伴って株主である投資家に利益がもたらされるものです。
もちろん株主優待目当ての売買に乗じて利益を積み重ねる投資家はいますし、それが悪いことだとは言いません。
しかし、そのような姿勢は投資の本筋からは外れてしまうということだけは認識しておいてください。
そして、優待券目当ての投資は後述する諸問題を抱えることにつながります。
割高な株を買わされる
株主優待投資は時として非常に高くつくことがあります。
例えば、株主優待制度のある株は権利付き最終日が近づいてくると、優待券目当てに買いが集まってきます。
つまり、権利付き最終日が近づくと株価は上がるのです。
ということは、前もってその株を買っておき、権利付き最終日に売れば儲かるはずだということになります。
実はこういったことを考える投資家は多くいて、権利付き最終日に向けて株価が上がり始める前に株を買っておき、権利付き最終日になったら優待券目当ての人に高く売ることで利益を上げる人がいます。
逆に言うと、買う方は株主優待を餌に株を高く買わされていることになります。
一部の投資家は優待券欲しさに株を買うわけですが、その株はそれを見越した投資家によって既に買い占められており割高になっているわけです。
したがって、株を買った直後に株価が大きく下がって含み損を抱えることになります。
もちろん優待券を貰えるのは良いことですが、500円分の優待券欲しさに株で数万円の損をするのでは本末転倒と言えます。
これでは優待券を餌に割高な株を買わされた格好となり、投資としては失敗と言えます。
株主優待制度は廃止の流れ
時代の流れとして、株主優待制度は廃止する方向で動いています。
これはなぜかというと、株主優待制度が外国人投資家にとって不平等だからです。
株主優待制度を導入している企業の多くは日本の会社であり、優待券が使用可能なのは日本国内である場合が多いです。
例えば、ディズニーランドの株主優待券は千葉県浦安市(=ディズニーランドの所在地)に行かない限り使い道がないというわけです。
つまり同じ優待券でも、日本在住の投資家にとっては実益がありますが、海外に住んでいる外国人投資家にとっては無用の長物ということになります。
これでは同じ株主なのに不平等が生じていることになります。
この不平等を是正するために、株主優待制度は廃止する方向で動いています。
同じ理由で、株主優待制度を新たに導入する企業は減少傾向であるため、全体として株主優待制度は廃止する流れになっています。
もちろん、株主優待制度が禁止になったり全ての企業が廃止するわけではないでしょうが、株主優待投資の対象となる企業は年々減少傾向であり、投資法としては下火と言わざるを得ません。
株主優待廃止で大暴落の危険
株主優待ありきで投資をしていると株価の大暴落に巻き込まれる危険があります。
株主優待制度を導入している企業の株価は、株主優待券があるがゆえに高く安定している場合があります。
株主優待券は株を持ってさえいれば毎年送られてくるわけですから、優待券目当ての投資家は多少業績の変動があっても株を保有し続けます。
あるいは、優待券欲しさに株を買おうとする人がいれば、その分だけ買い圧力が働いて株価は上昇します。
つまり程度の差はあれど、株主優待制度がある企業の株価は優待券ありきで形成されるわけです。
しかし前述の通り、株主優待制度は廃止の流れです。
そして株主優待制度が廃止された企業の株価は大きく下落する場合が多いです。
今までは優待券が貰えるからという理由で株を保有していた人たちは、優待券が貰えなくなったら株を保有する理由がなくなりますので、当然持ち株を売ります。
もちろん優待券欲しさに新たに株を買おうという人もいなくなり、買い圧力は少なくなります。
その結果、株を売る人の方が多くなり株価は大きく下落するのです。
株主優待制度をいつ廃止するかは誰にも予知できませんので、株主優待投資をする人は、いつ来るか分からない暴落のリスクを背負い込むことになります。
投資では余計なリスクを背負わないのがセオリーですので、株主優待投資は投資のセオリーから外れる投資法と言えます。
そういう意味で、株主優待投資はあまり旨味のある投資法とは言えず、かなり人を選ぶ投資法と言えるでしょう。
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